平成30年の記録

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平成30年秋 能と謡  福島県芸術祭参加  第57回会津若松市民文化祭参加行事

               (2018)10月27日(土)10時開始  

                会津能楽堂(平成21年竣工)

      当日の番組順に写真撮影出来た演目のみ掲載する。

 

     仕舞「右近」     舞囃子「田村」      素謡「竹雪」     素謡「放下僧」 仕舞「雲林院」 仕舞「清経」
 
  居囃子「玄象」      シテの着付け  小督(右)はまだ面をつけていない。      素謡「鷺」       素謡「葛城」観世流

あらすじ  四番目物。季節は秋、時に中秋。所は名月の嵯峨野

 小督の局は時の天皇高倉帝の寵愛を受けていたが、中宮(正妻)が平の清盛の娘であったので、その権勢をはばかって宮中を去ってしまいます。天皇の嘆きは深く、密かに腹心の源仲国(シテ)のもとに勅使を派遣し、仲国に小督の局を捜しだすように命じになります。手がかりは嵯峨野の「片折戸」のある家に住んでいるということだけです。今宵は名月、小督の局はきっと琴を弾じるに違いないだろうから、それを頼りに捜して参りますとお答えします。帝は仲国に名馬を与えますが、仲国はその名馬に乗って探索に出かけます。

今回は前半を省き、中入り 後よりの上演です

 一方小督の局は嵯峨野で悲しい思いでおりますが、気を紛らすために琴を奏でます。
 仲国は名月に照らされた嵯峨野にやって来ますが、片折戸という手がかりだけなので方々を捜します。法輪寺のあたりに来るとかすかに琴の音が聞こえてきました。耳を澄ますと「想夫恋」(男を思慕する女心の曲)の調べで、この琴の音は小督の局のものに違いないと確信し、片折戸の門口で案内を請います。しかし小督の局(ツレ)は門を固く閉ざし会おうとしません。侍女(ツレ)の取りなしで、仲国は小督の局にようやく会うことが出来ます。小督の局は帝の手紙をいただき読み、帝の寄せる思いに感泣します。
仲国は小督の帝宛のお手紙を請い、小督は寵愛された我が身を思い帝への手紙をしたためます。手紙をいただいた仲国が帰ろうとするのを小督は引き留め、酒肴を用意し仲国をもてなします。仲国は名月を愛で舞(男舞)を舞います。仲国は必ず迎えの車をさし向けることを約束し、今はこれまでと勇む心で馬上の人となり、小督も名残を惜しみながら片折戸から見送ります。

「小督」は『平家物語』に素材を得て作曲されていますが、ところどころに「峰の嵐か松風か、それかあらぬか、尋ぬる人の琴の音か、楽は何ぞと聴きたれば、夫を想ひて恋ふる名の、想夫恋なるぞ嬉しき。」など、平家物語に準拠した名文がちりばめられています。)

後シテ 坂内庄一  小督 渡部妙子 侍女 二瓶敦子

     地謡  星 幹男 渡部孝美 新井田 大 深谷信也  

         二瓶 晃 一条正夫 上野正義  鈴木圭介 

    大 舟木真一  栗城幸子  星田光子

  後見 渋川兼三 坂内 實 長澤 豊 秋本征子 佐藤 仁 

囃子方の入場  続いて小督と侍女の入る 切戸から地謡方が入り坐す

そこへ後見役が片折戸と垣根をセット中

  準備完了
 
  シテ仲国の出 笛を頼りに馬に乗っている(鞭を持って)嵯峨野を探し回る

今度は手には扇を持っている―馬から降りて門まできて案内を乞う。侍女が出てくる

 

後見役が作り物を運び出し、舞台は小督の家の中で帝の手紙を

 

 
 
  酒をいただき喜びの舞 お役目を果たし帰る仲国     ラストシーン 千秋楽を謡いー終了宣言

 

エピローグ

小督は宮中に帰るのを渋るが、「想夫恋」の曲で彼女の真意を悟っていた仲国に押し切られ、こっそりと天皇のもとに帰ってきた。その後、二人はひそかに逢瀬を重ねるが、清盛におもねる者から秘密が漏れて、皇后の父である平清盛の怒りに触れ、高倉天皇第二皇女を出産したのちに出家させられた。元久2年(1205年)に藤原定家が嵯峨で彼女の病床を見舞った記録があるが、その後の消息は不明。

平成30年、会津鶴ヶ城薪能(第32回)  

                 9月23日(恒例開催日ー秋彼岸の中日)

能「鵜飼」UkaiEnglish                            会津能楽堂(平成21年竣工)

​               各写真をクリックすれば大きくなる                  

 

 準備作業で大変なことは能楽堂の重い板戸を開け閉める作業で、高齢者にとって文字とおり荷が重いのです。

後シテ(閻魔大王)、前シテ(朝倉尉)今回は代役のため袴能形式で着用せず

装束方と立方前3名、後列ワキ、前列和服の女性は前シテは数日の稽古で代役をつとた。出番の関係で装束を付ける時間がなかった。

  仕舞-六浦   仕舞ー融

 

仕舞いのあとに能の解説あり。静かに,時には力強く語りかけて夕闇に期待感が広がる。親族の方ははらはらーーー

 

    仕舞-松風    仕舞-経政    見所にはおよそ350名ほどか。尋ねてみると県外者もちらほら  

能「鵜飼」

 あらすじ  作者‥世阿弥元清    季節‥夏  所‥甲斐国石和(山梨県笛吹市石和)

 安房(現在の千葉県)清澄寺の僧が、従僧を従えて旅たち、甲斐(現在の山梨県)石和川のほとりに着きます。日も暮れたため僧たちは近くの*辻堂で一夜を過ごすことにしました。そこへ松明を持った一人の鵜使いの老人が現れ、僧たちと言葉を交わします。老人の様子を見た僧は、殺生を止めて他の仕事に転ずるよう諭しますが、老人はいまさらそれは難しいと答えます。その問答を聞いていた従僧は、「数年前にこの近辺で老人の鵜使いに会い、一宿一飯の接待(供応)を受けた」と話します。
 老人は「その鵜使いは、禁漁区での鵜飼の咎めを受けて殺された」と話します。そして「私はその殺された鵜使いの亡霊です」と明かします。そして、鵜飼の様子を語り、やがて闇路へ消えてゆきます。(中人り)

「鵜使いの悲惨な死を聞いた僧たちは、川の石に法華経の文字を書き付けて、老人を供養します。すると、そこに閻魔大王が現れ、「殺生の罪により地獄に落ちるべき老人が、従僧をもてなした功徳もあって、救いを得た」と教えます。そして、大王は法華経の有難い御利益を讃え、慈悲の心をもって僧侶を大切にするよう勧めます。 

        *十字路などの傍に建つ小建物で仏像を安置してある。御堂とも

笛が止まり、ワキは定位置に。歩み(運び)と笛がぴったし。

  ワキとワキツレの謡い。 禁断の鵜飼いをした老人から供応を受けたねと話すワキとワキツレ   前シテは、装束とお面なしで、現れ  るー袴能スタイル ここからは「鵜の段」の聞かせどころ、次の写真も
松明を振りかざし、鵜使いの楽しさを演ずる

月になりぬる悲しさよ。鵜舟のかがり影消えて、闇路に帰る名残惜しさをいかにせんーーー

        閻魔大王が現れる。 殺生をした老人も法華経の功徳により地獄に落ちず、救いを得たと    後シテの舞

   

  退場            千秋楽を謡う(終わりです)

  Noh Ukai*     * Ukai  is  one  of  cormorant fishing method

                 * Utsukai is a trainer for cormorant fishing and a manager.

 A priest and  his accompany in Awa country (Chiba-ken) go out to travel and arrive at Isawa river in Kai country (Yamanashi-ken). Priests decided to spend one night in Tsujidou(the small building where a Buddhist image is enshrined) in an edge on Isawa river  because the sun also set.

Then,an aged man of Utsukai with a torch appears there and begins to have a conversation with priest. A priest admonishes the Utsukai to stop cruelty and turn to different work. But Utsukai answers “That’s difficult” The companion’s priest who heard a dialogue of the conversation, “When having come to this vicinity several years before, I met this person in similar Utsukai and was entertained by a stay of a night and a meal”

Aged man speaks “The Utsukai received Ukai’s blame at a no-fishing area, and was killed”  And he says “I’m a ghost of the killed Utsukai.” and a ghost describes the state of Ukai and evanesce to a dark road soon. ( intermission)

The priest heard that Utsukai’s death was miserable.  And then two priests  wrote the Hokke-sutra to the river stones for died Utsukai.

Then Enma Daiou shows there and Daiou teaches “There was also an act of charity with which the aged man who should be damned by a crime of cruelty entertained a accompany priest, and I achieved salvation.”

And a great king recommends to praise divine favor thankful for a Lotus Sutra and make the priest important with a heart of mercy.

 



30年春 能と謡   平成30年5月27日(日)10時開始 入場無料

 当日の番組順に写真を掲載します。素謡、仕舞、舞囃子その他はサムネール形式で表示しましたが、クリックすれば、能「藤」の写真と同じ大きさで見ることができます。

 

 

咸陽宮(みやび会・掬水会)  西王母(能楽会男性)   舞囃子(雲雀山)   草紙洗(能楽会女性)

  松虫(輝雲会・喜宝会


  仕舞(鞍馬天狗)   舞囃子(班女)    舞囃子(小袖曽我)   野守(總雲会)    仕舞(実盛)
       
  歌占(観世流)        

能「藤」

 あらすじ

都からきた僧が北国をめぐり 、信濃の国善光寺に参詣する途上、越中の国多枯の浦を通りかかる。僧は折りしも今を盛りと咲きにほう藤の花を愛で,古歌「常磐なる松の名たてにあやなくもかかれる藤の咲きて散るやと」と口ずさむ。そこにどこからともなく美しい女が現れ、この地は藤の名所だが、どうして古歌多枯の浦や汀の藤の咲きしより波の花さえ色に出でつつ」を詠じないのかとうらめし顔に言葉をかける。僧は女と歌についての問答をし、女の素性を尋ねると、女は藤の花の精であると答え、姿を消す。(中入り)

僧が仮寝をしていると、再び花の精が衣装を変えて現われる。花の精の身でありながら、仏法を行う問い尊い僧と言葉を交わせるのは「異性化身」・「自在不滅」後のによるものだと喜びの心を述べ、美しい舞を見せ、夜が明ける頃,霞にまぎれて姿を消してゆく。

 

Noh Fuji (wisteria)
A priest of the capital city tours around the beautiful spot of the northern country, and he goes to Zenkouji in Shinano country (current Nagano Prefecture).
In the middle of the trip, he happens to pass by Tagonoura of Ecchu country(current Toyama Prefecture)
The flowers of the wisteria are blooming there.
The priest recollects the old Waka which expressed about the transience of those flowers, and he hums it.
‘Why don’t you recite the Waka which praised Tagonoura, the beauty spot of the wisteria flower?”
The priest was impressed by her profound knowledge of Waka, and he asks who she is. She says that she is a floral fairy of wisteria, and she disappears. (Intermission).
While the priest is taking a nap, the floral fairy with her new costume appears again.
She tells the priest.
” I can speak with you in spite of the floral fairy. That is because I can change my figure freely by Buddha’s power”、and even when day breaks, she does beautiful performance, and evanesces somewhere under haze. 

 

 

初めに作り物(松にかかった藤の花)を後見人が運ぶ        笛の合図でワキ、ワキヅレが舞台に上がる ワキガ口ずさむ和歌「常盤なる松の名たてにあやなくもかかれる藤の咲きて散るやと」すると何処からともなく現れ


シテやワキは笛で舞台に入り、その旋律から運ぶ速度や歩数を調節し、シテ座で運びをやめる。3枚目写真のシテの位置をシテ座という。ここらで笛がやむように運ぶ。 会津能で囃子ができると県外から会員になっている方が数名おりますが、この方はその一人。 「多枯の浦や汀の藤の咲きしよりうつろう浪ぞ色に出でぬる」という歌もご存じない方とはーーーと咎めますワキとの問答の後、
 
       私は藤の花の精であるト明かして消えてゆきます 後シテの出を心配する地謡カ方、少しタイミングが合わなかった?
        後シテの出     ワキとの問答の後、後シテは舞に入る

仏の教えで花の菩薩になったことを告げ、月の光に照らされ、舞戯れる。

 
松にかかる藤の花が浜風にそよぎ、静かな波の音の春の夜。夜明けの柔らかな光に包まれて藤の精は消えてゆく。      キリの舞を謡いながら見守る地謡方      終わりです

  前シテ 渡部静子  後シテ 佐藤文江  ワキ 星幹男  ワキツレ 猪俣隆二

                            大 坂内庄一   小 折笠成美  太 一条正夫    笛 寺田林太郎 

           後見 平山 昇、渋川兼三、長谷川桂子

             地謡   堀 篤子 渡辺ヒロ子  増井典子 山垣美枝子

                  濱崎幸子 佐藤ヨシカ  栗城幸子 古田豊子

                        

  上の写真は平成21年公演の「藤」の一コマです。今回との違いは後シテが天冠に藤の花をつけており、舞台には作り物「松に藤の花」が置いていないことです。平成16年の公演では今回と同じ演出で行いました。古いHPは「演能の予定と記録」から入って見ることができます。辿ってみてください。

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