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令和6年の活動実績のうち、能の実演に関するものは、5月に「能と謡」(春の会) 詳しくはこちら、9月に薪能 詳しくはこちら、10月に「能楽秋の会」 詳しくはこちらを開催しました。 10月の「能楽秋の会」では、能の実演は行わず、素謡(謡のみの実演)と仕舞(能のクライマックスや最後の部分の舞を、面や装束を着けないで実演するもの。謡がつきます。)、舞囃子(仕舞に囃子がついたもの)を行いました。連調といって、一つの楽器(今回は小鼓)を大勢で演奏する演目もありました。 |
✿能と謡 令和6年春
令和6年5月26日(日)11時より 於 会津能楽堂
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1 番組と役
・素謡 志賀 写真はこちら
シテ:小野木和子 ワキ:堀 篤子 ツレ:村越洋子
・同 梅枝 写真はこちら
シテ:平山 昇 ワキ:山垣正英 ワキヅレ:新井田大
・仕舞 桜川 橋本五十雄
・同 草紙洗 村越陽子 写真はこちら
・舞囃子 花月 秋本征子 大鼓:上野正義 小鼓:栗城幸子 笛:角田久美子 写真はこちら あらすじはこちら
・素謡 藤戸 写真はこちら
シテ:河合政弘 ワキ:星 忠勝 ワキヅレ:星 安博
・同 楊貴妃 写真はこちら
シテ:宇田宣子 ワキ:齋藤令子
・舞囃子 安宅 大野 篤 大鼓:船木真一 小鼓:馬場則子 笛:星田光子 あらすじはこちら
・仕舞 杜橡 佐藤かよ子
・同 岩船 星田光子
・素謡 紅葉狩
シテ:佐藤 仁 ワキ:鈴木圭介 ツレ:大野 篤 ワキヅレ:長
・能 胡蝶 前シテ:小島原一枝、後シテ:佐藤文江、ワキ:栗城幸子
大鼓:坂内庄一 小鼓:松井恒子 太鼓:佐藤ヨシカ 笛:佐藤 仁
2 写 真
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3 あらすじ・解説
七つの年に天狗隠しにあった子と、世をはかなみ僧侶となった父が、数年後清水寺で巡り合うお話です。この曲はあらすじの芸人になったシテ(少年)の芸つくしに主眼がおかれています。特に舞囃子の場面は、シテが鞨鼓(小鼓を小さくしたような型で、皮にも胴にも美しく彩色が施される)を前につけて二本の撥で打ちながら舞い、修験道の有様を演じるなぢ、見せ場の多い部分です。「ヒィ、ヤァ、ラァ、ラァ、ラァ、ライト」というお囃子リズムもお楽しみください。
「安宅」は源義経の都落ちの一場、安宅の関の場面で、歌舞伎十八番勧進帳の原型でもあります。武蔵坊弁慶が読み上げる勧進帳は「三読物」として重い習い物であり、義経を弁慶が金剛杖で打ち据える場面など、広く知られる大曲です。舞囃子は、関を通り抜けた一行が、酒肴を持って迫ってきた関守とともに、やむなく酒宴を開き、はやる心を抑えながら、弁慶が舞を舞い(男舞)、長居は無用と、虎口を脱する思いで陸奥に向けて旅立つまでを演じます。
大和の国(奈良県)に住む僧が早春の都を訪ね、一条大宮に着きます。故宮の中で色違いの梅が今を盛りと咲き誇るのを眺めていると、一人の若い里女が声をかけてきます。僧が女の名を問うと、梅の謂れなどを語りますが、自分の名は答えません。重ねて問うと、自分は「胡蝶の精である」と明かし、さまざまな花と戯れることができる胡蝶なのに早春に咲く梅の花にだけは縁がないことをなげきます。僧の読経で成仏したいと願い、夕空に消えていくのでした。(中入り)
僧が梅の花の下で、法華経をよんでいると、胡蝶の精が美しい姿を現します。ありがたいお経により梅の花に出合ったことを喜び、歌舞の菩薩の面影を見せて明け方の雲の中、羽うちかわしながら霞に紛れ消えてゆくのでした。
舞台に置かれる作り物は「紅梅の立木(こうばいのたちき)」といいます。四角の台に、造花の紅梅を立てたもので、紅梅の立木があることを示します。これは出すときと出さぬときがありますが、会津能楽会では常に出しております。また、胡蝶の精は頭に蝶のついた冠をいただきますが、飾りがゆれ美しいのです。
※「中入り」とは、演目が前半、後半に分かれている場合に、シテが着替えのため幕内に戻ること、またその間を指します。中入り前のシテを前シテ、後のシテを後シテといいます。中入りの前後では、装束や面が変わるだけでなく、立場や人柄が変わるなどの変化もあります。
✿第36回 会津鶴ヶ城 薪能
令和6年9月22日(日・祝) 17時30分より 於 会津能楽堂
会津若松市市民文化祭の参加行事として行われ、会津若松市長よりお祝いのことばをいただきました。
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1 番組と役
・仕舞(宝生流) 加茂 山垣美枝子
・同 (観世流) 岩船 星田光子
・同 (観世流) 班女 佐藤ヨシカ
・同 (観世流) 小鍛冶 佐原昭一
・能 葛城 前シテ:大野 篤、後シテ:船木真一 ワキ:新井田大 ワキヅレ 山垣正英 大鼓:坂内庄一 小鼓:松井恒子 太鼓:佐藤ヨシカ 笛:佐藤 仁 後見:佐藤文江、馬場則子 写真はこちら あらすじはこちら
2 写 真
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3 あらすじ
出羽の国(山形県)羽黒山の山伏が葛城山(奈良県と大阪府の境)にある葛城明神への参詣を思い立ち、葛城山に到着します。折からの大雪に困り果て、木陰に立ち寄ると、里女(前シテ)が現れ、山伏たちを庵に案内します。里女は芝を背負い、雪の積もった笠をかぶり、白い装束を身に着けています。この前シテの出は観る人に雪の舞台を連想させます。女は葛城山の小枝を結い束ねた標(しもと)を解いて焚きもてなし、「標(しもと)」の謂われを語り、山伏は古い大和舞の歌を思い出し、歌問答を交わすのでした。
身も心も温まった山伏たちが夜の祈祷を始めようとすると女は「自分は葛城明神の化身である。昔仏法のための岩橋を架けなかった罰により役行者(えんのぎょうじゃ)の法力により蔦葛(つたかずら)で身を縛られている。この苦しみを取り除いてほしい」と頼み消えていきました。(中入り)
山伏が一心不乱に祈祷をしていると、葛城の神(後シテ)が女神となって現れます。蔦葛(つたかずら)をつけた天冠(てんかん)をいただいた女神は、大和舞を舞い、夜の明けぬうちにひっそりと雪の岩戸の内へ姿を消すのでした。この舞はゆったりと雅な「序(じょ)の舞」です。中世には葛城山に神の世界があるとも信じられていました。山の雪と白い月影に、清らに映える女神の舞を想い、ご覧ください。
※「中入り」とは、演目が前半、後半に分かれている場合に、シテが着替えのため幕内に戻ること、またその間を指します。中入り前のシテを前シテ、後のシテを後シテといいます。中入りの前後では、装束や面が変わるだけでなく、立場や人柄が変わるなどの変化もあります。
✿能楽秋の会 令和6年秋
令和6年10月26日(土)11時より 於能楽堂

1 番組と役
・素謡 嵐山
シテ:平山 昇 ワキ:船木真一 ツレ:上野正義
・同 加茂 写真はこちら
シテ:古田豊子 ワキ:竹井亜矢子 ツレ:宇田宣子
・独調 (草野流太鼓) 杜若 上野正義
・舞囃子 須磨源氏 堀 篤子 大鼓:船木真一 小鼓:栗城幸子 太鼓:山垣正英 笛:角田久美子写真はこちら あらすじはこちら
・仕舞 花筐 小島原一枝 写真はこちら
・同 小歌 馬場則子 写真はこちら
・素謡 誓願寺 星田光子
シテ:河合政弘 ワキ:星 忠勝
・仕舞 東北(とおぼく) 橋本五十雄
・同 融(とおる) 秋本征子
・素謡 松風
シテ:坂内庄一 ワキ:深谷信也 ツレ:新井田大
・仕舞 班女 佐藤かよ子
・連調 (幸流小鼓) 天鼓 栗木幸子、平山 昇、馬場則子、佐原昭一、山垣美枝子
・素謡 俊寛 写真はこちら
シテ:佐藤ヨシカ ワキ:佐藤文江 成経:二瓶敦子 康頼:山垣美枝子
・舞囃子 紅葉狩 佐原昭一 大鼓:坂内庄一 小鼓:馬場則子 笛:星田光子 写真はこちら あらすじはこちら
2 写 真
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3 あらすじ
『須磨源氏』は「源氏物語」第12帖須磨を素材にした作品です。「源氏物語」をもとにした多くの作品の中で、光源氏を主役に据えたただ一曲でもあります。
須磨の浦は、月の名所です。舞囃子では、春の月輝く須磨の浦に在りし日のままに、気高くきらびやかに、光源氏の霊が姿を現します。源氏は須磨の浦の美景をたたえ、昔をそのびつつ舞を舞います。この地の衆生を助けるため兜率天(とそつてん)より降りてきたのだと告げ、夜明けとともに姿を消すのです。舞は般渉早舞(ばんしきはやまい)で高貴なひとの霊が舞う曲。般渉調は笛の調子が常より高いのが特徴です。
『紅葉狩』は平維茂(これもち)の鬼退治を描いた作品です。秋たけなわの山中で紅葉狩の宴を催している高貴な風情の女(上臈)と侍女たち、鹿狩りにやってきて、通りがかった維茂と従者は上臈に引き留められ、酒席に加わります。
舞囃子はここから始まります。「オヒャーーーラー」と山中に響く笛の音と美しき舞の中で維茂は酔いつぶれ眠ってしまいます。すると舞は途中からユックリになります。上臈はそっと維茂に近づき、様子を伺います。眠っていることを確かめると、笛は急に早くなり、上臈は美女から鬼女に変わり、「夢しばしば覚まし給うなよ」と舞囃子は終わります。
美女から鬼女にと場面転換するこの舞が「急ノ舞」です。シテと大鼓・小鼓・笛の緊迫した呼吸の掛け合いをご覧ください。またワキ柱の陰で酔って寝ている維茂の姿を思い描いてみて下さい。


















