平成24年(2012)の記録

秋季演能会「能と謡」 10月20日(土) 午前10時始まり 能は例年午後2時以降になります

 番組最初の素謡「老松」   柏崎
 仕舞「巻絹」 シテ秋本征子  舞囃子「小袖曽我」ー二人で舞う相舞は合わせるのも難しい。荒川勝、木村武晴
仕舞「玉葛」  シテ渡部妙子  仕舞-網之段 シテ石田セツ子
 「実盛」 若松みやび会 仕舞「忠度」 シテ折笠成美
 観世流仕舞「田村」 シテ 山口シゲ子 観世流仕舞「松風」  シテ安西久子
舞囃子「猩々」 シテ 山田智子  素謡 「融」 

能「葛城」  能の開始は15:00でした。

後シテ 野崎 邦子 前シテ 堀 篤子   ワキ 一条 正夫 ワキヅレ 長沢 豊

      大 坂内庄一  小  折笠成美  太  佐藤ヨシカ  笛  山田和彦

地謡 渋川兼三 斉藤 堅 相良 実 松尾幸生

 平林光雄 中村寿男  有我嘉雄

            後見  玉川おくに 伊東 正

出羽の羽黒山の行者が葛城山に来るが、雪に見舞われる。
薪を背負った里の女が現れる.雪の積もった笠、白の装束を纏った前シテの出で、観客は雪の舞台であることを感じ取ります。 女は行者を伴い家に導く。夜寒が強まったので標(しもと・薪)を燃やして暖をとる。女は標の名の由来を説明する.

あらすじ   三番目物また四番目物。時は冬。所は大和葛城山。
 かつて、葛城山の一言主神は役行者(えんのぎょうじゃ)の命令に背いたので、不動明王の索により蔦葛により身を縛られてしまった(日本霊異記)。この伝説をふまえている。
出羽の羽黒山の行者が葛城山に来るが、雪に見舞われる。木陰に休んでいると薪を背負った里の女が現れる。
雪の積もった笠、白の装束を纏った前シテの出で、観客は雪の舞台であることを感じ取ります。女は行者を伴い家に導く。夜寒が強まったので標(しもと・薪)を燃やして暖をとる。女は標の名の由来を説明する。夜が更け、行者が勤めを始めると、女は行者に自分を三熱の苦しみから救ってくれるように頼む。行者が不審に思っていると女は「自分は葛城の神で役行者の命令を遂行できなかったために蔦葛で身を縛られ、三熱の苦しみを与えられ、岩屋に置かれているのだ。」と言い、呪縛を解く祈祷を頼み姿を消す。
 行者が祈っていると、葛城の神が女体の神となって現れ、その姿は高天の原の岩戸から出てきた天照大神の姿ながら、蔦葛で身を戒められている痛々しい姿であった
(被り物の天冠に蔦をつけて縛られていることを表現)。女体の神は高天原の大神への心を込め、神楽歌を歌い、大和舞(序之舞)を舞う。葛城の神は月の光の下の雪景色の中にしだいに自分の醜い顔が現れるのを恥じ、夜が明けぬ先に姿を消し、再び岩屋に戻って行く。

醜い顔が現れるのを恥じて夜だけ働いたため与えられた仕事が出来なかったか?

女は行者に自分を三熱の苦しみから救ってくれるように頼む。女は「自分は葛城の神で役行者の命令を遂行できなかったために蔦葛で身を縛られ、三熱の苦しみを与えられ、岩屋に置かれているのだ。」と言い、呪縛を解く祈祷を頼み姿を消す。
行者が祈っていると、葛城の神が女体の神となって現れ、その姿は高天の原の岩戸から出てきた天照大神の姿ながら、蔦葛で身を戒められている痛々しい姿であった (被り物の天冠に蔦をつけて縛られていることを表現)女体の神は高天原の大神への心を込め、神楽歌を歌い、大和舞(序之舞)を舞う。
葛城の神は月の光の下の雪景色の中にしだいに自分の醜い顔が現れるのを恥じ、夜が明けぬ先に姿を消し、再び岩屋に戻って行く。 客席から聞こえる拍手を背に垂れ幕を潜るとホットする立ち方(役者)
鏡の間で後見や地謡、囃子方、装束方に挨拶をして終わる。 会場前に舞台の雨戸の狂いを直す会員達

 

 

舞囃子は小袖曽我、桜川、猩々の三曲、仕舞 七曲  素謡は老松、柏崎、実盛、羽衣、融、井筒があります。詳しくは当日受付で配布する番組でご覧下さい。

 平成24年の行事報告

  薪能[半蔀]Hashitomi   9月23日(祝日)  会津能楽堂

              日中は小雨模様で心配しましたが夕方から雨は止みました。

    写真報告(取り急ぎ)

難波ー渡部マサ子 笹の段ー宮森京子
実盛ー平山 昇 ー伊東 正

前座の仕舞4番終了後,[火入れ式]があり,薪能が始る.お調べが聞こえ、雰囲気が醸し出され、幽玄の世界へと導いてくれる.やがて橋掛りから囃子方,右より地謡方は座り、笛の音合図に幕が上がり、ワキの登場である。

 ワキの名乗りや状況説明の謡いのあと前シテが出てくる。

前シテ広谷元子、後シテ渡部静子 ワキ上野正義、

囃子方,地謡,後見,装束方のお名前は番組でお知らせしてあり、ここでは省きました。

会員の他に後片づけのサポーター,さらには写真撮影サポーターがおられます.感謝します。

薪能では焚き火係りは大事な配役,そのための装束
 
   ワキの出.
  
 前シテが夕暮れ時に現れ、一本の白い花を供える。(手に花はないが)   ワキの方向を見てワキとの問答。僧が花の名と女の名を尋ねる
  

  中入りに入る.ここで半蔀の搬入が行われた.

シテは能面の小さな目穴からみて動いているので、原則フラッシュ撮影はご遠慮願っています。

半蔀の搬入の写真は手ぶれで、また火入れ式はカメラ担当が舞台直後のため撮影できなかったため掲載できません。

 と、その女は「名乗らなくても、そのうちに解るでしょう。「私はこの花の陰から来た者で、五条辺りに住んでいる」と言い残して、花の陰に消えてしまいます。

中入り後のあらすじ

(狂言は本日省略)から光源氏と夕顔の君の恋物語を聞いた僧は、先刻の言葉をたよりに五条辺りに行きますと、昔のままの佇まいで半蔀に夕顔が咲く寂しげな家がありました。

僧が菩提を弔おうとすると、そして僧に重ねて弔いを頼み、夜が明けきらないうちにと半蔀の中へ戻って行きます。

そのすべては、僧の夢の内の出来事でした。

   
 笛の合図で後シテが出て、半蔀の中に入る 半蔀を上げて夕顔の霊が現れ、光源氏との恋の思い出を語り、舞を舞うのでした。下段左
       
   後見役は半蔀に入るも出るも竹棹を操り手助けする   ゆったりとした序の舞ーゆるやかな舞だがそれがかえって難しい
          
  半蔀に入りやがて終わる シテにつづいてワキも退場.気のゆるみが出来ない運びだ.
      「半 蔀」 Hashitomi    季節・秋  所・京都紫野  注、半蔀(はじとみ)は上半分を押し揚げる板戸、格子戸で寝殿造の屏障具の一つ


 京都、北山紫野の雲林院に住む僧が、一夏かけた安居(
あんご)修行(九十日間籠る座禅行)を終える頃、毎日供えてきた花のために立花供養を行っていると、夕暮れ時に一人の女が現れ、一本の白い花を供えました。

僧が一際美しく可憐なその花の名は何かと尋ねると、女は夕顔の花であると告げるのでした。さらに、僧が女の名を尋ねると、その女は「名乗らなくても、そのうちに解るでしょう。「私はこの花の陰から来た者で、五条辺りに住んでいる」と言い残して、花の陰に消えてしまいます。
 

里の者(間狂言・本日は省略)から光源氏と夕顔の君の恋物語を聞いた僧は、先刻の言葉をたよりに五条辺りに行きますと、昔のままの佇まいで半蔀に夕顔が咲く寂しげな家がありました。僧が菩提を弔おうとすると、そして僧に重ねて弔いを頼み、夜が明けきらないうちにと半蔀の中へ戻って行きます。そのすべては、僧の夢の内の出来事でした。
 

夕顔は、光源氏の恋人の一人で、五条辺りでふと目に留まった、身分もわからない夕顔の花のように可憐なこの女性に、源氏はいたく心惹かれ情熱的に愛します。しかし、それもつかの間、連れ出した先で、夕顔は物の怪に取り殺され、短い恋は終わりを告げてしまうのです。
 この能は、源氏と夕顔の恋物語を基としていますが、物語を描くよりも夕顔の花そのものの可憐さに、はかなく逝った夕顔の君のイメージを重ね、花の精のような美しい夕顔を造形しております。すべては僧の夢という結末につながる、幻のようなしっとりした優美さを感じさせる能です。                                                                                      (文責 折笠 成美)

   

       

   春の謡と能   5月27日 於会津能楽堂  10時開始 晴天 

       当日の番組順に写真報告

 10:02 最初の素謡い「難波」は喜宝会と輝雲会の皆さんの合同    10:58 能楽会男性会員の混成、「兼平」素謡い
  11:10舞囃子は面や装束を付けずにシテが能のハイライト部分を舞う         11:21 舞囃子「高砂」 シテ 堀篤子
  11:27 能楽会女性会員混成チームの「熊野」         12:15 舞囃子「天鼓」   シテ 折笠成美
         舞囃子「草紙洗」 シテ 大塚利衛     12:22  若松みやび会の「班女」
   13:02 観世流 仕舞「邯鄲」 シテ 長谷川桂子    13:07 観世流 仕舞「笹の段」  シテ 山口シゲ子
    13:47   「船弁慶」 宝円会と聡雲会の皆さん  雨天を心配して張ったテントに日差しをよけて集まっている
      舞囃子「草紙洗」  シテ 大塚利衛   14:19  観世流素謡い「鵜飼」、いつもながら意気が合う
           
装束方の皆さん、シテ役の着付けを完了しホット笑顔。だが前シテには早くも緊張の表情、14:32  さあー出番だ。面をつける前シテ。ワキ、ワキヅレはすでに鏡の間に待機

能「田村」あらすじ   清水寺縁起

東国の僧が都に上がり、春のある日、清水寺を訪れ、そこで箒を持った少年と出会い、聞けば地主権現に仕える者であると言います。清水寺の来歴を尋ねる僧に、少年は、坂上田村麻呂が建立した謂れを語り、又、問われるままに少年が近隣の名所を挙げるうちに日も暮れ、やがて月が花に照り映える春の宵を迎えます。少年と僧は「春宵一刻値千金」 の詩文を共に口ずさみ、清水寺の桜を楽しみます。少年は折からの景色を讃えながら舞を添え、田村麻呂ゆかりの田村堂に入っていきました。(中人)                    −
 残された僧の前に清水寺門前の者(間狂言・本日は省略) が現れて清水寺の縁起を語り、少年は田村麻呂の化身だろうと述べ、回向を勧めます。

 夜半、僧が法華経を読経していると、武者姿の田村麻呂の霊が現れ、田村麻呂はかつて、鈴鹿山の朝敵を討ち、国土を安全にせよとの宣旨を受けて軍勢を率いて観音に参り、願をかけたことを語り見事に賊を討ち果たした有様を見せ、これも観音の仏力によるものと述べて終曲となります。                                  (文責 折笠 成美)

      前シテ 山垣美枝子

 後シテ 山田和彦

     ワキ 渋川兼三  ワキヅレ 斉藤 堅

          大鼓 坂内庄一  小鼓 折笠成美  笛 浜崎幸子

 地謡 (前列)木村武晴 鈴木圭介 相田幸三 角田喜久雄  佐藤 仁

     (後列)鈴木直樹 平林光雄 *佐藤信英 上野正義  星 英男

 後見 佐藤ヨシカ

15:14 箒を持った少年(前シテ)が出て来て、ワキの問いに清水寺の縁起や回りの風景を説明し、少年と僧は「春宵一刻値千金」 清水寺の桜を楽しみます。少年は景色を讃えながら舞を添え、田村麻呂ゆかりの田村堂に入っていきました。(中人)                    − 東国の僧がツレを伴い、春のある日、清水寺を訪れ辺りを見回している。 現われた少年に問いかけたり、説明を聞いている。ワキ背景のやさしい緑が五月の光を受け、透けて見える。さわやかな風が葉を揺らし、舞台を吹き抜ける。鶴が城公園と一体化した能舞台がウリ。
15:34 武者姿の田村麻呂の霊が現れ、かつて、鈴鹿山の朝敵を討ち、国土を安全にせよとの宣旨を受けて軍勢を率いて観音に参り、願をかけたことを語る。  15:46 見事に賊を討ち果たした有様を舞って見せ、これも観音の仏力によるものと述べて終曲となります。 「坂上田村麻呂の霊は、武人らしく迫力がありました」ーはじめて能を見た人の感想。
16:10 装束は湿気を抜き、後日アイロンがけと点検をしてタンスに収蔵する。表から見えない研鑽があるのです。ご苦労様です。    16:11  舞台雨戸の取り外し、取り付けは重いので大変である